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テレビ朝日「グッド!モーニング」でコメントしました。

あらためて見るに、加齢で眼、頬が重力に勝てずに垂れているではないか!
アンチエイジングしなきゃだ(笑)

負け馬券を必要経費にできるのは、一時所得ではなく雑所得に該当する人だけです。平成29年に最高裁で国が負けた(雑所得として負け馬券を必要経費を認めた)事件を受けて、国税庁が通達を改正、判決文をマンマ通達にした感じで、雑所得に該当する要件を「超限定列挙な条件」として、判決のケースが「異例中の異例」という位置付けにしてます。超限定列挙な条件に該当しない人は従前どおり一時所得ですよとアナウンスしています。この通達をクリアして雑所得になる人が果たしているのか?甚だ疑問です。

現行の取扱いでは、自己開発プログラムでデイトレーダー並みに取引している人以外は負け馬券は必要経費になりませんので注意が必要です。ちなみに所得税法の必要経費の定義は、収入を得るために直接要した費用です。負け馬券は収入を得るために直接要した費用に当たらない、というわけです。

ツイッターなどの書き込みで、私のコメントが論理的でないとか、まぁ色んな意見がございましたが、一時所得の中での公営ギャンブルの扱いは、執行の現状ではこうですよと申し上げたわけです。ニュースの短尺で、全コメントの一部しかオンエアできない環境では、私の考えを全部反映するのは到底無理なことでしょう。このあたりは割り切りと思ってます。

「はずれ馬券を経費に認めると国が負担するのと同じ結果」の意味が分からない人にはこうお伝えしたいです。必要経費の定義を逸脱して、はずれ馬券の購入費を必要経費にすると、「所得が低くなった分だけ税収が減る」のはお分かりになると思います。そういう意味から、はずれ馬券(減少する所得税が含まれる)は国が肩代わりするのと同等の効果がある、と申し上げてもあながち間違いないでしょう。「バクチ」で使った金を国が面倒みているのと変わらない、そんなのはナンセンスです、というわけです。

少し話がそれますが、交通違反をすると反則金を払うことがあります。反則金は必要経費になるでしょうか。答えは否です。反則金を所得税の必要経費あるいは法人税の損金にすると、ペナルティを与えたのに税負担は減少する、つまりは国が反則金の経済的制裁を軽減したことになります。これではペナルティの意味がないので、「法律」で必要経費あるいは損金にしないと規定しています。馬券の必要経費性の議論も、立法で解決するのが筋なんでしょうね。この点、芸人さんの活動は意義があると思います。ただし、「必要経費にならない」という結果を招くことになるでしょうけど。

それと、経費立証のインフラや公営ギャンブルをする人がすべて善人ではないでしょうから(笑、失礼)、はずれ馬券をゴミ箱から集めて来て経費に計上しても、その申告者に帰属するかを証明する担保がありません。このあたりは、ネットアプリ利用で投票及び配当の証明ができる方であれば、ある程度は解決できるかも知れませんね。この場合、ネット利用者と現金利用者の間で不公平という別問題が生じますが。

一時所得限定で、収入を得るために直接要した経費にどんなものがあるか、範囲は様々でしょう。

1 最高裁判決を受けた現行国税庁通達にある的中馬券を買った金額のみ
2 的中馬券のレースに投入した総額
3 的中馬券を買った日に投入した総額
4 的中馬券を買った月や年に投入した総額

何をもって「課税の公平」と考えるのか、というのも考えないといけないですね。
SNSではずれ馬券を経費に!と言っている人は、上記4まで経費にせよということでしょうか。

個人的には、馬券購入をネットでした人は、上記2まではいいと考えます(注:現行の扱いでは認められません)。いくつか山を張るのが普通でしょうから。

競馬ではなくパチンコに置き換えたらどうでしょうか。
会社帰りにパチンコする人がいるとして、いつか大勝ちするために出玉が出るまで経費を支出しまくり、という主張があったとして。上記4を認める人はいますでしょうか。かなり少数派になると想像しますが・・・。バクチはバクチ。たまたま当たったから一時所得。しかも特別控除や1/2という優遇は偶発的なものだから、一度に普通に課税したら可哀そうという扱いは、他の所得計算よりも多少は優遇されていると思います。

偶発的なものではなく、完全プロ志向の場合は、はずれ馬券は経費になる余地があります(執行では最高裁判決が出るまでは経費に認めませんでしたが)。

参考までに一時所得の計算は、
収入から必要経費-50万円(特別控除)引いて、さらに半分にしたものが総合課税されます。

*日本の所得税法は所得が10種類に区分されてまして、所得別に計算式が決められています。

一時所得の話をしてきましたが、最高裁が納税者を勝たせた判決のようなケースで、雑所得になると、勝ちレース、負けレースに関係なく必要経費が認められますが、ご興味ある方は国税庁ホームページをご覧ください。

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