「めざまし8」に音声出演(笑)しました。
アイドルグループ「エイト」の聖地、東京都北区の神社(宗教法人)の代表が、神社の資金を個人的に費消していたという報道。
よく混同されやすいので整理します。
ひとつは、「宗教法人」の税務。お布施、玉串料、お守りなどの所得(収入から経費を差し引いたもの)は法人税が非課税になっています。宗教法人の所得は全部非課税と勘違いされる方をお見受けしますが、民間と競合するような所得は非課税にはなりません。法律で限定列挙された、物品売買、不動産業などは課税扱いになります。課税は収益事業なので「収益事業会計」で処理、非課税は「非収益事業会計」として区分経理することになっています。
ふたつめは、宗教法人に属する人の「所得税(個人)」の税務。宗教法人から給料をもらえば、株式会社のサラリーマンと同じように、給与所得として所得税が源泉徴収されます。フリンジベネフィット(経済的利益)を受けた場合も同じです。「給料」として支払っていなくても、給料と同等な利益を受けた場合には課税されます。
この件に関しては、他のニュースを併せますと、お布施などの収入を宮司の「個人名義預金」で管理していた模様。この預金は宮司の「完全支配下」にありますので、他の法律の適用はともかくとして、所得税の世界では経済的利益を受けている状態なので、正式な給料と同様に「課税の公平の観点」から認定課税したと思われます。
他のニュースで、「お布施などの非課税収入から宮司が個人的に費消した金額が所得隠しにあたる」というのがありました。これはミスリードであり、そもそも前段と後段が異なるものなので間違いです。法人税と所得税をごちゃまぜにしており支離滅裂です。
ちなみに宮司が費消した金員の源泉(源泉徴収の意味ではありません)は収益事業、非収益事業のいずれも問いません。宗教法人の金員が宮司に渡れば給与所得に該当する、ということだけの話です。