税務顧問・税務調査の対応なら東京の税理士佐藤弘幸へ|プリエミネンス税務戦略事務所

「児童手当拡充+扶養控除廃止なら 年収900万円で負担増」

【この記事のポイント】
・児童手当が拡充されても中高所得層には負担増の場合も
・理由は扶養控除見直し。所得が高いと税率も上がるため
・高校生の子1人なら年収900万円で差し引きマイナス

記事の前提は、夫婦共働き(いわゆる2馬力)で、配偶者控除なし、高校生の扶養家族がいる世帯で、扶養控除を適用しているどちらかの親(扶養控除は夫婦で重複できません)をシミュレーションしたものです。児童手当を年12万円受給して、扶養控除が廃止された場合の、「差引手取り額」がいくらになるのかを示しています。

社会保険料控除は、厚生年金、健康保険及び雇用保険の合計を、年収から負担額を求め、生命保険料控除は一律9万円としました。

正確に比較するには、個々の納税者の実額を入れないといけませんが、所得区分の多くがサラリーマン(給与所得)であることから、前提を置いて試算したデータを提供いたしました。

以下、抜粋したものです。

政府は13日に公表した「こども未来戦略方針」で、中学生までの児童手当の支給期間を高校生まで延長すると盛り込んだ。16〜18歳の子供がいる親の税負担を軽くする扶養控除の見直しも検討する。年収によっては児童手当の増加分よりも、負担増が大きくなるケースもあり得る。

扶養控除を巡っては鈴木俊一財務相が5月下旬の記者会見で、児童手当の支給を18歳まで拡充する場合に「控除の見直しが必要ではないか」と語った。13日に決定したこども未来戦略方針にも脚注に「高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する」と示されている。

「高校生の子供が1〜2人いる場合は年収850万〜900万円が支援が実質的に増えるかどうかのボーダーラインになる」。扶養控除が廃止された場合の影響について、プリエミネンス税務戦略事務所(東京・港)の佐藤弘幸税理士はこう説明する。

所得税は年収が高いほど税率が高く、控除廃止の影響を受けやすいためだ。

現行の扶養控除では、16〜18歳の子供1人につき所得税は38万円、住民税は33万円を所得から控除して計算する。この扶養控除が廃止されて月1万円の児童手当が新たに支給された場合、高校生の子供1人がいる家庭にどのような影響が出るかを試算した。

40代の共働き夫婦で給与年収が600万円の場合は、児童手当の支給額は年12万円となる。一方で控除の廃止で納税額は7万1800円増える。差し引きで年4万8200円のプラスだ。佐藤氏によると、収入が850万円までは扶養控除が廃止されても手当が上回る。

年収が900万円になると納税額が12万5800円増えるため、児童手当をもらっても実質的に年5800円のマイナスになる。年収1000万円の場合は負担が3万6300円増える。

扶養控除の見直しは廃止ではなく、縮小もあり得る。それでも中高所得層では児童手当の額面通りに実入りが増えない可能性がある。

 

関連する記事