2025/12/25 | テレビ朝日「報道ステーション」取材協力しました!
インフルエンサー脱税事件
「架空発注でニセ領収書作成か」
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000475358.html
東京国税局査察部が東京地検に告発、地検が起訴したニュースです。
いくつかのニュース番組で、ヤメ検さんなどのコメンテーターがコメントを出していますが、ここでは国税OB目線でコメントしてみます。ニュースでは取り上げられていない内容でマニアックですw
脱税案件は、告発または起訴のタイミングで、東京国税局査察部または東京地検特捜部からマスコミ説明用にリリースペーパーが配付されます。
この事件のペーパーを見て、わたし気付いてしまいました!
当該事案は、法人税法及び消費税法違反ですが、消費税は「還付未遂」なのです。還付未遂とは、消費税確定申告書を提出したけど還付金の受領には至っていないということ。
税務署では、消費税の還付申告書が提出されると、高額案件は「還付保留」して申告者の実態調査や帳簿調査を実施しています。不正還付を防止するためです。申告をして還付するまでの間というタイミングの事案ということなのです。
一般的に中小企業は決算期末から2か月以内に確定申告します。還付保留されても問題なしなら数か月以内に還付金が振り込まれます。査察部が還付金振込前に立件したという事は、次のようなことが推察されます。
還付申告→税務署が還付保留→ん?おかしいぞ→実地調査に移行→多額不正が見込まれた→国税局に連絡→査察部が着手 *査察部独自事案(内偵班が企画したもの)ではないと思われる。
B勘屋がいますが「素人B勘屋」ですね。「プロB勘屋」は依頼者の脱税を徹底して被りますから。この素人B勘屋(一応、法人みたいです)は、欠損(赤字)か無申告だったのでは?
ほ脱嫌疑者 → 業務委託先
という関係性で、KSK(国税総合管理)システムで申告事績を検索して、業務委託先が欠損または無申告だと調査官は架空原価を疑い、委託先はB勘屋と想定します。
インフルエンサーは現代的だけど、脱税の手口は典型的な「昭和」ですね。
査察部は立件の手間がかからない楽勝案件ですね。脱税ほう助の二人はすぐに完オチしただろうし、立件に必要な証拠も苦労なく揃えられたことでしょう。地検への告発に必要な「犯意」も赤子の手をひねるように簡単に。国際税務や複雑な租税回避案件が苦手な「査察向き」のいい事案といえます。
脱税額が高額なので、初犯でも執行猶予がつくかどうか微妙です。
(豆知識)
消費税法が成立してから暫くの間、還付申告書の提出をしただけでは罰則(刑事)の対象になりませんでした。一部例外で詐欺罪などはあったようです。平成23年度改正で、実際に還付金の受領をしなくても罰則の対象とするとされました。
嫌疑者のお父様は元参議院議員の白眞勲さんなのですね。
追記:
26日のテレ朝ニュースで次の報道がありました。
実際には資金の移動はほとんどなく、多くを「未払金」として処理していたということです。これは完全にアウト!てか、税理士がいたのか。仮にいたならアホじゃないのか。5億円の未払が継続すれば不正のフラグが立つのにね。








