風俗店や飲食店の顧問先を持つ、国税OB税理士の暗躍
| 税務調査
DIAMOND online 2016.8.4投稿
国税OB税理士による、
脱税相談、ほう助の実態
前回の記事に引き続き、国税OB税理士の実態に迫っていこう。
税理士は「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」を使命とする(税理士法第一条)。
取扱い商品が「税法」だし、税理士法という「制度に守られた職業」なのだから、不法な手段で税金を減らすことを禁じるのは当然といえる。そうはいっても、他の職業同様、税理士も飯を食っていかなければいかない。
顧問先から解約されたら実収入が減るし、脱税の手伝いをして「お小遣い」という名のボーナスが入るならば、と魔が差すのかもしれない。また、現職時代の経験からして、「これならバレない」という自負があるのか…。
国税OB税理士だけが悪いわけではなく、いつの時代にも「利用する納税者」がいる、ということが根っこの問題としてあげられる。
飲食業や風俗業の顧問先を多数持つ、国税OB税理士B氏は、顧問先からの度重なる懇願により、脱税方法を指導した。B氏は繁華街担当(現金・風俗業専担)の経験から得た、バレにくい脱税方法を熟知しており、「これなら大丈夫だろう」という手法を伝授した。
ところが、税務調査で脱税が発覚してしまい、調査を受けた納税者が「B氏の指導でやった。俺は悪くない!」とケツをまくってしまった。脱税相談・ほう助は税理士法で禁止されており、B氏は2年間の業務制限処分を受けてしまった。
B氏は自己の名前で税理士業務ができなくなった。自業自得である。
税務署に対する、
干渉・圧力もある
税務調査というのは、調査に必要な帳簿書類・データを納税者側に準備してもらい、調査官がこれらを検査しながら疑問点につき質問をして進めていくのが一般的である。帳簿書類、データだけでは分からないことが多いので、経理だけでなく、営業などの現場にいる人にも質問することになる。
場合によっては、反面調査といって取引先や金融機関などの取引関係者にまで調査範囲を広げることもある。税務的な観点だとグレーゾーンが少なくないから、多角的に事実確認しないと間違った「事実認定」になるからだ。
ところで、調査途中で調査妨害ともとれる言動・行動をする国税OB税理士がいる。あるいは、事実と異なる「ストーリー」を仕込み、調査官をミスリードさせる者もいる。
こういった輩は、税理士法の「税理士の使命」を著しく逸脱している。現職のときのポリシーはどこに行ってしまったのか?もとより、この手のOB税理士は、ポリシーなんか持ってなかったのだろう。